2013年6月19日水曜日

病気との闘い 6



社長の現存している左足の状態が悪いのもオレはなんとなく前から感じてはいたけど、やはり実際に話しを聞くと愕然としてしまう。
その日の夜にまた病院に見舞いに行ったが、右足を失ってから社長の様子も少しずつ変化してきている。
交通事故で足を切断するのと違い、糖尿のそれは次元が違う。
足を切断したからといって元気になるわけではないのだ。体の調子は全体的に悪くて傷の治りもとても遅い、目の網膜症も進行してきてうんと見えにくくなる。
次から次に襲ってくる合併症と闘い、常に怯えているような状態になる。
今までに見たことも無いような落ち込み方もするようになり、話しの内容も少し認知症なのか?と思えるような場面も出てきている。 いや、認知症なんて言葉を軽々しく使うのはあんまりだろう… やっぱり相当な精神的ショックを受けているのだと思う。

そんな中で社長は腹をくくったらしい。
「もう足は切らない、もう少ししたら病院を出る」
こうオレに言ったのだ。

担当の医者や婦長さん、介護福祉士等のほとんどは「足を切らないと寿命が縮まる、早死にする」
といったほとんど脅しとも取れるような言い方をする。
オレも内心は医者の言うことが正しいのなら両足を切るのもやむを得ないのか、と思ったりもしたが、トカゲのしっぽを切るのとは訳が違うんだ。
ついこのあいだ、とても痛い思いをして右足を失ったばかり。心も体の傷もまったく癒えないうちから、今度は左足を切るだって…
「バカ言うな、オレの仲間をそんなに切り刻まないでくれ!」そんな気持ちの方が数倍大きかった。

そして右足の切断手術をしてから約二ヶ月のち、社長は半ば強引とも言えるようなやり方で退院してしまった、術後の経過は全くもって悪い状態だったけど…

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