2013年6月10日月曜日

病気との闘い 3



社長が手術室に行き、2時間が経過した。だいたいこのぐらいの時間で手術が終わると聞いていたが、更に1時間、2時間と経っても待合室には何の連絡も入らない。
不安になったオレは自分から受付に聞いた。
しばらくして連絡がはいった。
「術後の痛みがとても激しいらしく、今日は面会できる状態ではないのでお帰り下さい」と言われた。

次の日、オレは仕事を終えてから病院に出向いていった。
集中治療室に入ってから担当の看護婦に聞いた。「大丈夫なんですか?話しはできるんでしょうか」
看護婦は「平気ですよ」と、さらりと言った。
オレは内心、会うのがとても怖かった。
そして奥にある社長の寝ているベッドに案内された。

社長の体には心電図と心拍数を計るものが付けられ、透析をしなければいけないので左腕のシャントに管を刺され人工透析をやり、鼻からは酸素吸入、切断された右足には負圧で血液を採るなんだか袋のようなものが付いている。
おおよそ生きている人間の姿とは言いがたい、いったい何本の管や線が体に巻きついているのだ?
社長は横たわり、腹を動かし一生懸命に呼吸をしている。そして何度見ても今まであった右足が膝下からなくなっている…
そんな壮絶な光景を見て、オレはその場で泣き崩れてしまった。
傍らで社長の手を握りしめながら泣いていると、社長は小さな声で「泣く奴があるか…。 足は大事にせえよ…」とオレにつぶやいたのだ。
オレはますます涙が止まらなかった。


現在、社長が足を切断してから三ヶ月ぐらいの日にちが経っているが、とにかく今でもオレ自身この日のショックがなかなか和らがず、思い出しては涙があふれてしまう。パソコンをたたいていてもだ…。
そして社長自身にこの日の事を聞くと、オレに会った事はまるで覚えていないと言う。

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