2013年8月8日木曜日

遺品と部屋を整理するということ


社長の住んでいた自宅兼事務所であるワンルームと、機械式駐車場の整理。
最終的にはマンション管理会社から業者を紹介してもらい、処分して空っぽの状態にした。

オレも大事なモノや引き取ってもらえないもの、使えるもの等を人にあげたり、リサイクル屋に売ったり、小さいものは自分で保管したりとあれこれやりながら整理していった。
管理会社も言っていたが、法定相続人のいない人の家財道具は本来勝手には処分できないそうで、血縁のないオレにも片付けする権利も義務も本来はないのだ。
ただ20年も一緒に連れ添った仲間だ。そのまま放置することはオレにはできなかったので、片付け処分することを決めた。

亡くなってから三週間ぐらいはほぼそのままの部屋の状態だったから、整理に部屋に入るたびに涙があふれてきた。
まだあの人のにおいや温もりが部屋に残っていて、今にも「よっ!」とか言いながら出てきそうだったから…
でももう戻ってくることはない。声も聞くことはできない。仕事が終わって帰ってきても一緒になって話すこともできない。オレにも配偶者や子供もいないから、なんというか寂しさが身に染み渡る感じだった。
それでも心が救われるような事もいろいろあった。
近所で親交のあった人や、社長の担当だった介護福祉の人、病院のケースワーカーさん、透析クリニックのスタッフさん。
社長に付き添ってずっと傍にいたオレがショックを受けているのを心配してくれて、いろいろ声を掛けてくれたり、励ましてもらったり、飲みに連れて行ってくれたりしてお世話になった。
人との係わり合いで人間は生きているのだと強く感じた瞬間だった。

「あなたは一人で何年間も社長さんの事を最後までよく看てあげてましたよね、社長さんはほんとに幸せな人です。このことはあなたの人生をきっと豊かにしてくれるはずです」
こんなことまで年配のご夫婦が言ってくれた。うれしかった…


そして8月7日、業者さんが片付けて空っぽになった部屋で正座をして、最後のお別れをした。
「20年間あっという間でしたね、今までありがとう、あなたに逢えて良かった、ケンカも多かったけどとても楽しかった。
腎不全で障害者になっても、足を失ってしまっても、オレはあなたが大好きでしたよ、またどこかで一緒に仕事しましょう、約束ですよ…
                  さようなら、さようなら…」




0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。