2013年7月5日金曜日

病気との闘い 8


社長が退院してから、自宅兼事務所でもあるワンルームの部屋の模様がえを二人であーだこーだと言いながらやりはじめた。
古い書類やガラクタを捨て、重々しいサイドボードを解体し、通販で仕入れた収納をオレがガタガタと組み立てた。
社長はもっぱら、「部屋をあーしてこーして、こうやって」と、想像しながら構想を練る役目。
レイアウトしたり、物を小詰めてキレイに収納するとかいうのは昔からこの人はとても上手だった。
いい頭の運動や気晴らしにもなっているみたいだ。
オレはオレで日曜返上で毎週作業していたのでさすがにストレスが溜まり、良く社長と口ゲンカになった。その場はとても重苦しい雰囲気になったが、お互いそんなに引きずることもなく、毎週日曜には懲りずに部屋を作った。
そんなことを繰り返しているうちに、社長は一人でベッドから電動車椅子に乗り込み、部屋を動いてちょっとした整理ぐらいできるようになっていた。
片足がなくて、傷の状態もあまり良くないのに、いつも社長はへんなところで根性を出し、周りをびっくりさせていた。
でも、そんなに元気な素振りを見せたかと思うと、次の日は辛そうにベッドに横たわり、「足が痛い、指が動かない、目が見えない」といってしょげてしまう。体調や気分が安定しないようだ。
子供みたいな素振りで落ち込んでいる社長を見ているとなんだかオレもとても心配になり、部屋に帰って床に就いても不安で目がさめてしまうこともよくあった。

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