2013年10月8日火曜日

五十日祭と東山魁夷


先日、宇都宮に帰省した。
オヤジの五十日祭があるのだ。
月日の流れは早い。

オレは時間を作って一日早く帰った。
お袋と少しでもいれればと思ったから。

よくよく考えると、もし今でも社長が生きていたら、オレはこんなに自由にお袋のいる田舎に帰れたのだろうか…
社長、オヤジと立て続けに亡くしてしまったがちょっぴり不思議な因果関係があるような気がしてならない。

法事の前日、お袋と二人で昼飯を食いに出かけ、帰りにドライブがてら宇都宮美術館に寄ることになった。
「東山魁夷をやってるから」とお袋。
「東山魁夷、何それ?」とオレ。
「日本の有名な画家だよ」とお袋。

なんでも川端康成と深く関わっていた人らしい。



パソコン上の写真では何にも伝わらないが、館内を歩いているうちに数々の絵画にどんどん吸い込まれていった。
とても美しい絵だったから…

山や木々を題材にした作品が多かったけど、実際にみる絵の息吹や力強さ、なんとも言えない色彩、山のちょっぴり湿気を帯びてひんやりとした空気感まで伝わってくる。
ある意味自然の風景をも凌駕しているぐらいに綺麗だ。
でもそこには自然を愛して畏敬の念を持ち、変に出しゃばらない謙虚な姿勢もあるようにオレには見えた。
どう表現したらいいかわからない、五感で描いてる感じだろうか…

うちのオヤジの家系は代々絵描きが多いらしい。
オヤジ自身も生前よく油絵を描き、展覧会に出したら英国の女性が是非売ってくれと言ってくるぐらいの腕前があった。
オレはオレで昔から絵や写真を見るのは好きだったし美術の成績は良かった。
誰に強要されたわけでもない。
なんの気なしに行った美術館だったけど、すごくいいものを見させてもらった。



そして日付も変わり、朝は空も少し雨が残っている感じ。
騎西の玉敷神社でオヤジの五十日祭と納骨が行われ、オヤジは千の風になり旅立っていった。

当たり前だがお袋はとても寂しそうだ。
なんせ六十年も連れ添ってきたのだから…
旦那が死ぬと急に元気になる奥さんも多いって聞くけど、オレにはその感覚は良くわからない。
それこそ絆もヘチマもないのではないか。
誰だって永く連れ添った人に逝かれたら、我が身から心臓をえぐられるぐらいに悲しいものだ。
その悲しみだってちょっとやそっとの月日では消えないんだから。

お袋と実家の祭壇を片付けて、オレは東京へと戻った。
あまりほったらかしにも出来ないから、時間を作ってまた里に帰らないとな…







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